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神戸家庭裁判所 昭和39年(家)358号 審判 1964年6月08日

国籍 アメリカ合衆国ニューヨーク州 住所 神戸市

申立人 ウイリアム・エム・ジェームス(仮名)

国籍 アメリカ合衆国テキサス州 住所 申立人に同じ

未成年者 アイリーン・スコールズ(仮名) 外一名

主文

申立人ウイリアム・エム・ジェームスが未成年者アイリーン・スコールズ及びローザ・スコールズを養子とすることを許可する。

理由

本件申立の要旨は「申立人はアメリカ空軍将校として一九六三年五月来日し、現在神戸地区で勤務に就いている。そして未成年者両名の母エリーザ・エム・ジェームス(二四歳、一九五二年以来父母とともに日本に在住)と知り合い、一九六三年一二月四日結婚して、現住所で家庭を持ち、未成年者らも同居している。家庭は円満で、申立人と未成年者らとの間はいずれも親密である。それで今後未成年者両名を自分の養子として育てて行きたいので、その許可を求める」というのである。

申立人本人審問の結果及び家庭裁判所調査官島田安子の調査報告によると、上記申立にかかる事実が認められる。ただ、ニューヨーク州法によれば、養子縁組については、ニューヨークの検認裁判所、家庭裁判所、養親又は養子の居住郡の検認裁判所が管轄を持つものとされている。しかし、申立人が日本において養子縁組をしようとし、現に関係者がわが国に上記のような生活関係を有するときは、養子縁組事件の性質及び裁判所関与の目的からみて、わが国の裁判所もこれについて、国際非訟管轄権をもつものであり、かつ、本国法上の要件を満たすための裁判所の決定は、わが国の家庭裁判所の許可をもつて代えうるものと考える。そして、家事審判法所定の民法上の養子縁組に対する家庭裁判所の許可は、このような場合の許可をも含むものと解してよいから、当裁判所は本件について管轄権があるものと認める。

そして上記取調の結果によると、未成年者らが申立人の養子となることは、その家庭生活の状況からみて望ましいことであると認められ、各自の本国法上も縁組の障害となる事由はない。

よつて申立人の申立を許可することとし、主文のとおり審判する。

(家事審判官 坂東治)

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